2024.09.03
特別手当にはどのような種類があり、いくらまで設定できるのでしょうか? 特別手当の導入を検討しているものの、実際に特別手当がどのようなものか明確に知っている人は少ないかもしれません。
この記事では、特別手当の定義や種類、メリット・デメリットについて詳しく解説します。特別手当の導入を検討している企業向けに、賞与との違いや課税・非課税の観点も含めて分かりやすく説明します。ぜひ、貴社の給与体系の見直しや新たな手当の導入にお役立てください。
特別手当とは、企業が従業員に対して特定の条件や成果に応じて支給する給与の一部です。法律で定められたものではないため、企業で独自に設定が可能です。ここでは、手当の基本的な概念から特別手当の定義、残業手当や休日手当との違いまで、詳しく解説します。
「手当」とは、企業が従業員に支払う基本給以外の賃金を指します。手当には、法律で支給が義務づけられているものと、企業が任意で支給するものがあります。例えば、役職手当、職務手当、家族手当、住宅手当、通勤手当などが挙げられます。これらは、特定の職務や責任の程度、生活条件に応じて支給される、企業が独自に設定できる手当です。
一方、法律で義務づけられている手当には、法定労働時間を超えた場合に支給する残業手当、法定休日に勤務した場合に支給する休日手当、深夜時間帯に勤務した場合に支給される深夜手当などがあります。これらの手当は労働基準法に基づいており、すべての企業が従業員に対して支給をしなければなりません。
特別手当は、法律で支給が定められているものではありません。そのため、企業によって定義や支給条件、タイミングが以下のように異なります。
同じ「特別手当」という名称でも、企業の方針によって内容や目的が大きく異なることが一般的です。
残業(時間外)手当・休日手当・深夜手当は、法律で支給が義務づけられている手当です。労働基準法第37条に基づき、法定労働時間を超える労働や休日・深夜に働いた場合に支給が必須であり、また割増賃金の支給率も定められています。具体的には以下の通りです。
これらの手当は、労働者の労働環境を保護するために法的に義務づけられているものであり、企業の裁量で支給される特別手当とは異なる目的と性質を持っています。
特別手当は、給与の一部として所得税の課税対象となるものと、非課税となるものに分かれます。ここでは、それぞれの手当について具体的な例を挙げて解説します。
課税対象となる特別手当には、以下のようなものがあります。
その他にも、業績に連動して支給される業績手当や企業の利益に大きく貢献した際に支給されるインセンティブなど、企業によってさまざまな特別手当がありますが、これらは給与の一部とみなされるため、所得税が課されます。
非課税となる特別手当には以下のようなものがあります。
ただし、これらの手当が非課税となるかの判断は、国税庁が法令に基づいて行います。企業も、国税庁の指示や規定に従う必要があるため注意しましょう。
特別手当の中には、臨時で支払われるものもあります。例えば、収益が予想を上回った場合に一律に支給される手当が挙げられ、「大入袋」とも呼ばれます。
このような手当は、任意的かつ恩恵的に支給される極めて少額なものであれば、「臨時に受けるもの」として、社会保険料の対象とはみなさないことが可能です。ただし、所得税に関しては課税対象となります。
特別手当と賞与(ボーナス)は、どちらも従業員へ労働の対償として支給する報酬の一部で、ボーナスを特別手当という形で支払う企業もあります。ここでは、それぞれの定義や支給について解説します。
賞与(ボーナス)とは、企業が従業員に対して労働の対価として支給する報酬のうち、年3回以下の支給のものを指します。多くの企業では年に2回(夏季と冬季)支給されており、就業規則に支給条件や支給月が定められています。賞与は、企業の業績や従業員の勤務成績に応じて支給されることが一般的であり、業績が良ければ期末に決算賞与を出す企業もあります。
一方、特別手当は特定の条件や成果に応じて不定期に支給されるため、定期的な賞与とは異なる扱いを受けることが多いです。ただし、中には賞与を特別手当という名称で支払う企業もあります。
特別手当は報酬の一部として支給されるため、社会保険料の対象となります。特別手当を含めた給与総額は、社会保険料の計算基礎として、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の報酬月額が決定されます。また、雇用保険料などの労働保険料も対象です。
また、特別手当が年に3回以下の支給である場合、賞与とみなされることがあります。その際は、賞与支払届を提出した上で、賞与としての社会保険料が発生します。上記を踏まえ、企業は特別手当の支給回数や条件を設定する際は、慎重に検討する必要があるでしょう。
特別手当は企業の裁量で支給されるため、企業・従業員の双方にメリットとデメリットがあります。以下ではそれぞれの観点から解説します。
特別手当を支給する企業のメリットとしては、従業員のモチベーション向上が挙げられます。また、基本給を上げることなく報酬を調整できるため、経営状況に応じた柔軟な給与支払いが可能です。
従業員のメリットは、追加の収入を得られて生活の質が向上する点です。特定の条件や成果の達成によって支給されるケースでは、個々の頑張りが評価されたと実感できるため、公平感があり、仕事への満足度も高まります。
特別手当を支給する企業のデメリットは、不定期に高額の手当を支給する場合、企業の負担が大きくなる可能性がある点です。また、特別手当の支給条件が不明確だと、従業員間で不公平感が生じることもあります。
従業員のデメリットとしては、特別手当が不定期に支払われる場合は、安定した収入としては期待できず、長期的な生活設計が難しくなる場合があります。また、特別手当を多く支給する代わりに基本給を低く設定している企業もあり、退職金や賞与などの算定基礎が少なくなるケースもあるため、規程をしっかりと調べておくと良いでしょう。
特別手当の算出も含めた給与計算業務を円滑に行いたい企業は、給与計算システムを導入することがおすすめです。JOEの給与計算システムでは、企業の給与規程に合わせてフレキシブルに計算式を構築でき、独自の特別手当や各種控除、複雑な計算ロジックにも対応します。勤怠管理システムと連携することで、業務効率が大幅に向上し、手作業によるミスを防止します。
給与計算を“見える化”するJOEの給与計算システムの導入をぜひご検討ください。詳細は「給与計算システム」のページからご確認いただけます。
この記事では、特別手当の定義や種類、注意点について詳しく解説しました。特別手当は、企業の裁量で支給を決められますが、内容や回数によって税金や社会保険料の取り扱いに違いがあるため、導入には注意が必要です。
JOEでは給与計算システムと合わせて、給与計算業務のアウトソーシングサービスも提供しています。企業に合わせたオーダーメイドのBPOサービスで、給与計算業務の本質的な課題解決を提案します。ぜひ、JOEのサービスを活用して、給与計算業務の負担を軽減し、業務の効率化とコア業務への集中を実現しましょう。
詳細は「人事給与業務アウトソーシング(BPO)」のページからご確認いただけます。