コラム

  1. TOP
  2. コラム
  3. 人事管理全般
  4. 人手不足なのに雇わない? 企業が採用に踏み切れない理由と対策

人手不足なのに雇わない? 企業が採用に踏み切れない理由と対策

労働人口の減少の影響もあり、人手不足は多くの企業が抱える課題のひとつであるといえます。しかし、人手不足でありながらも、なかなか採用に踏み切れない事情を抱える企業も少なくありません。この記事では、人手不足なのに企業が採用に踏み切れない理由や、人を雇わないことによるデメリット、人手不足になりやすい企業の特徴について解説します。人手不足にならないための対策についても解説するので、人手不足の予防や解消に役立ててください。

目次

人手不足の現状

総務省の調査によると、日本では少子高齢化の進行により生産年齢人口(15歳から64歳)が1995年をピークに減少しており、今後も減少傾向が続くと見込まれています。生産年齢人口の減少は労働力不足の加速にもつながり、企業が抱える人手不足の問題もより深刻化することが予想されるでしょう。

また、転職者や転職希望者の増加も人手不足の原因のひとつと考えられます。総務省統計局労働⼒⼈⼝統計室の調査では、2023年7〜9月期の調査で転職者は6期連続増加、転職希望者は10期連続増加となっており、転職に対する肯定的な考えが強まっているといえるでしょう。さらに、転職だけでなく副業や起業、独立など働き方が多様化していることの影響も、企業の人手不足の背景のひとつといえるでしょう。

人手不足の対策として、政府や企業は外国人労働者の受け入れ拡大や、女性や高齢者の活躍促進、デジタル人材の育成や確保、労働環境の改善、賃金の引き上げなど、さまざまな施策を実施しています。

出典:総務省「令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少」
出典:総務省統計局労働⼒⼈⼝統計室「直近の転職者及び転職等希望者の動向について」

人手不足でも採用に踏み切れない理由

企業が人手不足でも採用に踏み切れない主な理由として、「採用コストを抑えたい」「人件費を抑えたい」「自社のニーズに合う人材からの応募がない」の3つが考えられます。それぞれの理由について解説します。

採用コストを抑えたい

人材採用には求人広告費や人材紹介費などさまざまな費用がかかるため、採用コストを抑えるために積極的な採用活動を控えるケースがあります。採用活動は採用が成立してもしなくても採用コストがかかるため、金銭的な余裕がない企業にとっては採用活動への注力をためらう場合もあるでしょう。

人件費を抑えたい

従業員が増えればその分の人件費も継続的に必要になるため、金銭的な負担から人手不足でも新しい人材を採用しないというケースもあります。人件費には、基本給や賞与をはじめ、通勤手当や家族手当などの各種手当、教育研修費、採用費、社会保険や労働保険の保険料負担など、さまざまなコストが含まれます。

現在の業績が安定していたとしても、今後業績が悪化したり市場変動があったりするリスクを考慮すると、新しい人材の採用に踏み切れないと考えるケースもあるでしょう。

自社のニーズに合う人材からの応募がない

人手不足の解消に向けて採用活動をしていたとしても、自社のニーズに合う人材からの応募がないために採用が進まないというケースもあります。労働力人口の低下もあり、労働市場は少ない労働力の争奪戦のような状態であるといえます。スキルや経験があり即戦力となるような優秀な人材は、そう簡単には出会えないでしょう。

また、条件に合わない人材を無理に採用してしまうと、トラブルに発展するリスクが高まったり、採用コストが無駄になったりしてしまうでしょう。

人手不足なのに雇わないことによるデメリット

人手不足の問題を抱えながらも新たな人材を雇わないでいると、「生産性が低下する」「離職率が増加する」「企業としての成長機会が失われる」などのデメリットが生じる恐れがあります。それぞれのデメリットについて解説します。

生産性が低下する

人手不足の状態が継続すると、従業員一人ひとりにかかる負担が大きくなり、全体の生産性の低下につながってしまいます。従業員ひとりあたりが負担できる業務量には限りがあるため、人手不足を放置すると、従来通りの業務が遂行できなくなったり、ミスやトラブルが発生するリスクが高まったりするでしょう。

従業員への負担が大きくなると、業務にあたるモチベーションの低下を招き、業務がうまくまわらなくなったり、業績不振につながったりする恐れもあります。

離職率が増加する

人手不足によって従業員一人ひとりへの負担が増えると、従業員の不満が募り、離職を選択するケースが増加することが考えられます。従業員への負担が増加している現状があるにも関わらず、人手不足を解消しようとする姿勢が企業側に見られない場合、従業員からの信用を失う恐れがあります。結果的に従業員が離職を選択した場合、人材不足の現状がさらに悪化してしまうでしょう。

企業としての成長機会が失われる

人材不足は、企業としての成長機会にも悪影響を及ぼす恐れがあります。従業員一人ひとりが負担できる業務量には限界があるため、人材不足の状態が続くと新しい受注ができないなど、事業拡大のチャンスを逃してしまいます。

労働力が不足した状態だと売上の低下にもつながり、既存顧客に対しても従来通りのサービスを提供することが難しくなるかもしれません。人手不足の放置は長期化すればするほど企業としての成長機会を逃したり顧客離れにつながったりと、さまざまな悪影響を及ぼすでしょう。

人手不足になりやすい企業の特徴

人手不足になりやすい企業には、「労働環境が悪い」「業務が属人化している」「採用条件が不適切」などの特徴があります。それぞれの特徴について解説します。

労働環境が悪い

労働環境が悪い状況とは、労働者が安全・健康に働けない環境のことを指します。具体的には、賃金が低い、残業や休日出勤が多い、業務量が多すぎる、パワハラなどのハラスメントが横行している、騒音がひどいなど、待遇面や人間関係、オフィス環境などに問題があるケースのことをいいます。

従業員が安心して働けない環境では、人材の流出や採用活動の難航を引き起こすことにつながり、人材不足が加速するでしょう。

業務が属人化している

業務が属人化している企業は、人手不足が発生しやすい状況にあるといえます。業務の属人化とは、特定の業務に関する手順やノウハウなどの情報を特定の担当者しか把握していない状況で、業務フローが組織全体で共有されていない状態のことです。

属人化した業務に携わっていた担当者が退職した場合は引き継ぎがうまくいかず、新しい人材を採用したとしても業務の手順やノウハウを覚えることが困難になるため、定着率は下がるでしょう。

採用条件が不適切

せっかく採用活動をしていても、採用条件が不適切では、適切な人材が見つかりにくくなってしまいます。自社のニーズに合った人材が集まらなければ、せっかく採用したとしてもうまく業務を進められなかったり馴染めなかったりするリスクが高まり、すぐに離職してしまう恐れがあります。

適切な採用条件のもとで採用活動を進めるためには、新しい人材を募集する前に、どの部署の人員が不足しているのか、どのような人材が必要なのかなどを明確にしておかなくてはなりません。

人手不足にならないための対策

人手不足にならないためには、「人員配置や業務量を見直す」「採用のミスマッチを減らす」「外部リソースやテクノロジーを活用する」などの対策が有効です。それぞれの対策について解説します。

人員配置や業務量を見直す

リソースと業務量のバランスが不適切な状態は「業務過多」を引き起こし、優秀な人材に業務が集中してしまうと流出につながる恐れがあります。定期的に人員配置を見直し、それぞれの業務量が適切であるかを再確認するようにしましょう。

業務量に無理が生じている場合は、生産性を維持しながらも効率化できる方法はないか、業務フローを見直すのも方法のひとつです。

採用のミスマッチを減らす

せっかく採用活動をするのであれば、ミスマッチを減らすためにも、まずは求める人材を明確にすることが大切です。求人募集や広告の出し方についても見直し、自社のニーズに合う人材を見つけられるようにしましょう。

採用基準についても明確化し、一定の評価基準や質問項目に沿って面接を進める「構造化面接」を行うのも有効な手段です。

外部リソースやテクノロジーを活用する

人手不足をカバーするために、外部リソースやテクノロジーを活用するのも方法のひとつです。外部リソースとは、自社内で不足しているリソースを社外の資源やサービスによって補うために活用できるものを指します。たとえば人材派遣会社による人材の調達や、調査代行業者による調査やアンケートの実施、コンサルティング会社による専門的なアドバイスなどが活用できます。

また、ビジネスに利用できる新たなツールの導入を検討するのもよいでしょう。タスク管理や文書管理など目的に応じたツールを導入すれば、業務効率化につながり、人手不足の解消にもつながります。

まとめ

人手不足の問題を抱える企業が採用に踏み切れない理由には、採用コストや人件費をかけられないケースや、自社のニーズに合う人材がいないケースなどがあります。しかし、人材不足を放置してしまうと、生産性の低下やさらなる人材の流出につながり、企業としての成長の機会を逃してしまう恐れもあります。

人材不足の対策としては、人員配置や業務量が適切であるかを見直し、採用のミスマッチを防ぐための対策を取り入れていくことが大切です。外部リソースやテクノロジーを適切に活用し、業務効率化を推進していくことも有効な手段であるといえるでしょう。

JOEの人事管理システムは、多くの企業の人事給与業務の業務効率化をサポートしています。企業独自のルールや項目にも柔軟に対応し、それぞれのニーズに最適なサービスをご提案します。

また、「人事給与業務アウトソーシング(BPO)」「給与計算システム(Web明細含む)」「勤怠管理システム」などのサービスもご提供しておりますので、詳細は「サービス一覧」のページをご覧ください。

この記事をシェアする

関連するサービス

人事管理システム・申請ワークフロー

人材活用を力強くサポートする人事管理システムをご提供しています。効率的に適材適所の人事が実現します。

詳しく見る

この記事のカテゴリー

この記事のタグ

関連記事

    • 2023.08.31 人事管理全般

      人事システムを導入するメリットと導入時に確認すべきポイントとは

      • 基礎知識
    • 2024.03.12 人事管理全般

      人事システムとERPの違いとは? 人事業務でどう活用できるのか

      • DX
      • 人事システム
      • 業務効率化
    • 2023.08.31 人事管理全般

      人事システムとは? システムの種類や選び方も解説

      • 基礎知識
    • 2023.08.31 人事管理全般

      人事DX(HRDX)とは? 具体例や実現方法、進め方など

      • DX
      • 基礎知識

カテゴリー

人事管理全般の
人気記事

  • 2024.09.03 人事管理全般

    コア業務とノンコア業務の違いを整理して生産性向上につなげよう

    • DX
    • 人事システム
    • 業務効率化
  • 2023.08.31 人事管理全般

    人事システムを導入するメリットと導入時に確認すべきポイントとは

    • 基礎知識
  • 2024.09.03 人事管理全般

    バックオフィス(管理部門)におけるDXの進め方

    • DX
    • 人事システム
    • 業務効率化
  • 2024.03.12 人事管理全般

    人事システムとERPの違いとは? 人事業務でどう活用できるのか

    • DX
    • 人事システム
    • 業務効率化
  • 2023.08.31 人事管理全般

    人事システムとは? システムの種類や選び方も解説

    • 基礎知識

タグから探す

お電話でのご相談