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バックオフィス(管理部門)におけるDXの進め方

政府が推進する働き方改革の一環として各企業に求められているのが、バックオフィス業務におけるDXの推進です。「バックオフィスDX」とも呼ばれる取り組みは、企業にとってもメリットが大きく、今後の企業成長に欠かせません。

今回の記事では、そんなバックオフィス業務のDX推進について、必要とされる背景やメリット、具体的な進め方も含めて詳しく解説します。

目次

バックオフィスDXとは

企業が行う業務は、クライアントや顧客と直接関わる「フロントオフィス」、クライアントや顧客と直接的な接点を持たない「バックオフィス」に分類されます。

具体的には、フロントオフィスは営業や販売、マーケティングなど、企業のイメージや利益などに直結する業務を指します。一方、直接的には顧客と関わらないものの、フロントオフィスの業務をサポートする役割を持つのがバックオフィスです。具体的には、総務、経理、人事、労務、法務などの管理部門がバックオフィスに該当します。

「DX」は「デジタルトランスフォーメーション」の略称です。最先端のデジタル技術を活用した業務プロセスの改善や、新しいビジネスモデルの開拓を通して、企業に変革をもたらすことを指します。

つまり「バックオフィスDX」とは、業務プロセスの改善や生産性の向上を目的に、企業の管理部門に新鋭のデジタル技術を活用することを意味する言葉です。

バックオフィスDXが必要とされる背景

日本企業にとって、バックオフィスDXは急務として推進が求められています。その背景にあるのが、働き方改革です。ここからは、バックオフィスDXが必要とされる理由について見ていきましょう。

労働人口の減少

少子高齢化が進行する日本では、労働人口の減少が大きな課題です。特にバックオフィス業務は、利益に直結するフロントオフィスと比較すると人員確保の優先度が低い傾向にあります。そのため、人手不足の問題が発生しやすい点が課題です。

政府が推進する働き方改革では、イノベーションによる一人一人の労働生産性の向上を目指しています。バックオフィスDXは、そんなバックオフィス業務の労働生産性を高め、人手不足を解消する手段として欠かせないものです。

働き方の多様化

働き方改革では、育児や介護との両立など、労働者が抱える個々の事情にも対応できるような多様な働き方の推進を目指しています。そのため企業にも、テレワークや時短勤務、フレックスタイム制といった多様な働き方に柔軟に対応できる労働体制づくりが求められています。

そんな多様な働き方を実現するための一助となるのが、バックオフィスDXです。クラウドシステムの導入や、デジタル化によるペーパーレス化が実現すれば、オフィスへ出勤せずともできるバックオフィス業務範囲を増やすことにつながり、多様な働き方への対応範囲も広がります。

DX推進に向けた法改正

政府は企業のDXを推進するため、法整備も積極的に行っています。例えば、2022年から施行されている「改正電子帳簿保存法」は、重要書類の保存を電子化・ペーパーレス化することによる生産性向上、多様な働き方への対応を目指すものです。業務の電子化・ペーパーレス化に対応していくためには、バックオフィスDXが欠かせません。

また、2023年10月以降は「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」もスタートしました。請求書の条件や付随する条件も増えているため、業務負担の軽減や法令への対応を目指すために、DXを活用する必要性が高まっています。

働き方改革に伴った法整備は、今後も継続的に行われていくことが予想されます。企業側は、こうした法律に関する最新情報もキャッチアップしながら、法令に対応できる体制づくりを進めることが必要です。

バックオフィスDXを推進するメリット

バックオフィスDXは、その推進にコストがかかる一方、得られる恩恵も大きいものです。ここからは、バックオフィスDXを推進する具体的なメリットについて解説します。

業務効率化

バックオフィス業務へのクラウドサービスやデジタル技術の導入によって期待できるのは、業務効率化による生産性の向上です。

たとえば人事部門の場合、バックオフィスDXの取り組みの一つに「勤怠管理システムの導入」が挙げられます。勤怠管理システムは出退勤管理、休暇管理機能、残業管理機能などを備えており、Web上のシステムによる勤怠に関する業務の一元管理が可能です。従業員一人一人の労働時間や残業時間も自動で集計できることから、大きく業務を効率化できます。

業務の効率化が実現できれば、従業員の残業時間も削減されるでしょう。バックオフィスDXによって従業員が働きやすい環境を築くことで、さらに労働生産性が高まるというプラスのサイクルが生まれるきっかけとしても期待できます。

コストの削減

バックオフィスDXの推進により、ペーパーレス化を進めることも可能です。ペーパーレス化は、書類の印刷や保管に必要なコストを削減できるメリットもあります。また、紙と比べて、管理にかかる時間的コストが軽減される可能性も高いです。

また、業務を効率化することによる、外注費や人件費の削減も期待できます。そうした幅広い意味合いでのコスト削減につながるのも、バックオフィスDXのメリットです。

業務品質の向上

データの集計や管理が求められるバックオフィス業務では、業務品質も重要です。中には給与計算や労務・法務など、ミスが許されないような業務も少なくありません。

バックオフィスDXによってシステムを導入すれば、計算や集計の自動化によって人為的ミスを減らすことにもつながります。ミスや見落としを防ぐアラート機能を設定できるものもあるため、業務品質の向上も期待できるでしょう。

多様な働き方への対応

テレワークなどの多様な働き方へ対応していく上でも、バックオフィスDXは大きな後押しとなります。クラウドシステムを導入することで、インターネット環境があればどこからでも業務を行えるようになるため、テレワークなどにも柔軟に対応可能です。

システムを導入してテレワークでも問題がない労働環境を構築できれば、従業員のストレスを減らし、自分らしく働く環境を提供できます。従業員一人一人の生産性向上にもつながることでしょう。

属人化の解消

管理部門の業務は専門的な知識が必要なものも多いため、特定の担当者しか行えない業務があるという企業も少なくありません。こうした「業務の属人化」は、業務がブラックボックス化して課題が見えづらくなったり、担当者が退職した際の影響が大きくなったりと、多くのリスクがあります。

バックオフィスDXは、こうした属人化を解消する上でも大きな役割を果たします。システム導入によって業務を自動化・標準化することで、特定の知識や経験を持つ従業員だけしか業務を行えないといった事態を避けることにもつながります。

バックオフィスにおけるDXの進め方

ここからは、バックオフィスにおけるDXの進め方について詳しく解説していきます。

DXのための業務を洗い出す

まずは、バックオフィス業務の中でデジタル化が望ましいものを洗い出すことから始めましょう。管理部門は部署が多岐にわたり、それぞれの抱える業務も多様です。最初にそれらをしっかりと可視化した上で、DXを推進する優先順位を決めていきましょう。

業務の棚卸しを行う中で、「多くの人員や時間を割いている」「ミスが多い」「属人化されている」といった課題を伴っていないかもしっかりと確認することが大切です。課題まで把握しておけば、迅速にDXを進めるべき優先順位が見えやすくなります。

導入するシステムやツールを選定する

デジタル化を進めたい業務をリストアップしたら、それらを叶えられるシステムやツールを選定していきます。

近年は、バックオフィスDXを実現するさまざまなクラウドシステムやサービスが登場しているため、予算と機能のバランスを考えることが重要です。また、すでに自社に存在するシステムとの相性や、自社独自の規定やルールにも柔軟に対応できるものであるかも考慮する必要があるため、慎重に選びましょう。

従業員へ周知・教育する

導入するシステムが決定したら、いち早く従業員へ周知することも忘れないようにしましょう。実際に、システムを利用して業務を行うのは従業員です。新しいシステムに対して抵抗感を与えないよう、「何を目的としたどんなシステムなのか」「システムを導入することでどんなメリットがあるのか」をしっかりと説明しましょう。

また、新しいシステムの使い方やルールを従業員に理解してもらうことも欠かせません。導入後、スムーズに担当の従業員が活用できるよう、DXに向けて早めにマニュアルや教育プログラムを用意したり、既存の業務体制からの円滑な移行を計画したりして、準備を進めておきましょう。

テスト運用を行う

システム導入後、まずはテスト運用期間を設定します。新しいシステムが既存の業務や自社の環境とマッチするか、従業員がスムーズにシステムを利用できるか、この期間にしっかりと確認しましょう。

このとき、少しでも気になったところや問題点は、しっかりと解消しておくことが大切です。実際にシステムを使って業務を行う従業員から、率直な意見をヒアリングしてみるのもいいでしょう。本当に業務の効率化が見込めるか、これまで抱えてきた課題を解消できそうかなど、幅広い視点からシステムや機能性をチェックしていきましょう。

本運用後は効果・検証を進める

テスト運用が問題なく終われば、いよいよ本運用に入ります。テストでは気にならなかったものの、本運用後に課題が浮き彫りになることも少なくありません。運用し始めたら終わりではなく、実際に業務効率化が実現できているかを確認したり、システムを利用する従業員に細かく聞き取りを行ったりして、効果・検証を長い目で見ながら進めていく必要があります。

導入したシステムがアフターサポートまで備えている場合は、本運用後に気になったところをフィードバックすることで、改善をはかることも可能です。システム選びの際は、そうしたサポート範囲も含めて検討すると良いでしょう。

バックオフィスDXを効果的に進めるポイント

バックオフィス業務のDXをより効果的に進めていくために、意識するべきポイントを4つご紹介します。

目的と克服したい課題を明確にする

自社でバックオフィスDXを進める前に、まずは各部門における目的と、克服したい課題を明らかにしておくことが重要です。

DXは、どの企業も推進すれば必ず恩恵が得られるというわけではありません。自社の就業規則やルールにマッチしたシステムでなければ、せっかく導入してもその効果を最大限得られない可能性があります。システム導入には費用・時間の両方のコストがかかるため、できる限りリスクを減らしておくことが重要です。

まずはバックオフィスDXの導入によって、自社が叶えたい目的と、克服すべき課題、DXが必要な業務の優先順位を明確にしておきましょう。ゴールをしっかりと設定することが、管理部門におけるDXの効果を最大限生かすための第一歩となります。

スモールスタートを意識する

バックオフィスDXを実現するシステムは、各部門それぞれに役立てられるものが多数登場しています。かといって、一度に全部門のDXを推進しようとすると、一つ一つの手順が煩雑となる可能性が高いです。結果「機能に無駄が多かった」「既存のシステムと合わなかった」など、問題が発生して現場が混乱したり、効果の検証が十分に行えなかったりする可能性が高いです。

そのため、バックオフィスDXを推進する際は「スモールスタート」を意識しましょう。具体的には、管理部門の中でも特にシステム導入の優先度が高い部門から、少ない範囲でDXを徐々に進めていくことをおすすめします。

時間はかかるものの、一つ一つ進めていくことで社内にもノウハウが蓄積され、すでに導入した部門で得た経験を次の部門の導入の際に生かすことができるでしょう。結果的にリスクを抑えながら効率的にDXを進めていくことができるため、現場の混乱を防ぐことにもつながります。

既存システムとの連携を意識する

新しいシステムを導入する場合は、自社で利用している既存のシステムや業務フローに対応できるかを事前に必ず確認しましょう。

連携が難しいシステムを導入してしまった場合は、本格的な運用までに多くの時間を要したり、情報の引き継ぎができなかったりすることもあります。知識に自信がない場合は専門家から助言を受けることも視野に入れながら、導入システムの検討時にしっかりと確認しましょう。

経済産業省の「DX推進指標」を活用する

働き方改革に伴い、政府は各企業のDXを推進しています。どのようにDXを推進すべきかのヒントがほしい場合は、経済産業省が提示している「DX推進指標」を活用してみましょう。

「DX推進指標」は「経営者や社内の関係者がデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向けた現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるための気付きの機会を提供するもの」と定義されています。具体的には、活用することで自社のDX取り組み状況を自己診断することができるものです。

全35項目に分かれており「経営」「IT」の観点から0〜6段階で診断を行うことができます。「何から始めていいかわからない」という場合は、一度「DX推進指標」を活用して自己診断を行ってみるのがおすすめです。

人事部門のDXならJOE

JOEでは、人事部門のバックオフィスDXの推進に役立てられるクラウドシステムを取り扱っています。

システムは大きく分けて3種類あり、自社の人事給与規程に合わせて柔軟にカスタマイズできる「給与計算システム」、効率的に適材適所の人事の実現をサポートする「人事管理システム」、各種申請・承認機能を搭載し、柔軟な勤務形態にも対応する「勤怠管理システム」を提供しています。

JOEの強みは、給与計算業務で50年、利用者39万人以上という豊富な実績を生かし、お客さまの課題に合わせた最適なサービスをご提供できる点です。システム導入時はもちろん、アフターサポートも充実しておりますので、安心してご利用いただけます。自社の人事部門のバックオフィスDX推進を進めたいという方は、ぜひJOEのサービスをご検討ください。

バックオフィスDXの推進を検討してみませんか?

労働人口減少の問題に伴い、バックオフィスDXはどの企業にとっても急務となっています。現状の業務体制の変更に対してコストは必要になるものの、DXの推進によって企業側が得られる恩恵は非常に大きなものです。この機会に、自社のバックオフィスDX推進を検討してみてはいかがでしょうか。

人事給与業務を幅広くサポートするJOEでは、クラウドサービスやBPOサービスを提供しています。働き方改革に伴う法改正にも対応しているため、安心してご利用いただくことが可能です。これまで培った豊富なノウハウを生かしながら、各企業の状況やニーズに合わせて柔軟に対応し、最適なサービス・システムをご提案いたします。サービスの詳細は「人事給与業務アウトソーシング(BPO)」「給与計算システム(Web明細含む)」「勤怠管理システム」などのページをご確認ください。

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