2025.04.09
内製化とは、外部委託していた業務を自社での対応に転換することです。これまで外部委託していた業務を自社での対応に転換する「内製化」は、コスト削減や業務効率化などの観点から注目を集めています。この記事では、内製化の概要やメリット・デメリット、内製化が必要かどうか見直すポイントについて解説します。内製化を進める際の注意点も紹介するので、業務の見直しや内製化の推進に役立ててください。
内製化とは、外部の業者に依頼せず、自社のリソースを使って業務や製品を自社内で完結させることを言います。主にコスト削減を目的に実施されることが多く、外部委託にかかるコストを抑えながらノウハウを蓄積できるメリットがあります。一方で、内製化の対義語には「外部委託」や「アウトソーシング」などがあり、これらは企業にとって直接的な利益には関わらないノンコア業務を外部の企業や個人に依頼することを指します。内製化には人材育成や設備投資が必要になる場合もあり、自社の状況に応じた選択が求められます。
内製化を進めると、「業務のノウハウを蓄積できる」「コスト削減につながる」「セキュリティが強化できる」「スピーディーに対応できる」などのメリットがあります。それぞれについて解説します。
内製化すると、これまで外部委託していた業務を自社で対応することになるため、その業務に必要なノウハウを蓄積できるようになります。外部委託している業務の場合は、日々の業務を委託先が担当し、イレギュラーな事態が発生したとしても解決してくれるため、業務遂行のために必要な知識やノウハウなどが社内に蓄積されにくいという課題があります。
内製化すれば、日々の業務に加えてイレギュラーな事態が発生した際にもすべて自社で対応するため、その業務についてのノウハウが自然と蓄積されていくでしょう。
外部委託には費用がかかるため、内製化することで外部委託にかかっていたコストの削減につながります。とくに専門性が高い業務や特殊な業務などは費用が高額になる場合もあるため、内製化することで大幅なコスト削減につながるケースもあります。
これまで外部委託にかかっていた費用を投資や事業拡大などに充てられれば、より企業としての成長機会を広げることにもつながるでしょう。
内製化を実施した業務は社内で完結するため、必要な情報などを外部に持ち出す必要がなくなり、よりセキュリティの強化につながるでしょう。外部委託の場合は業務の遂行に必要な顧客データや機密情報などを委託先に持ち出す必要があるため、情報が流出するリスクが心配されます。
しかし、内製化することによってさまざまな情報を外部と共有する必要がなくなるため、競合他社への情報漏洩リスクも低減できるでしょう。
社内で完結できる業務は、外部とのやりとりが不要になる分、スピーディーな対応が可能になります。外部委託の場合は契約手続きやスケジュールの調整、情報共有などさまざまなやりとりが発生するため、緊急性の高い事案への対応が遅れてしまうこともあるでしょう。
しかし、内製化によって社内で完結できる業務についてはすぐに対応が可能になるため、柔軟でスピーディーな対応が可能になります。結果として顧客満足度を高めることにつながるほか、ビジネスチャンスを逃さず企業活動の成長にもつながるでしょう。
内製化を進めるためには、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで対応することが大切です。内製化のデメリットには、「人材育成の時間とコストが必要」「設備投資や運用コストがかかる」「コスト意識が低下する恐れがある」などがあります。それぞれについて解説します。
内製化を進めるためには、内製化の対象となる業務を担当する人材を育成する必要があり、人材育成のための時間とコストが必要になります。その業務に対して知識や経験のある人材が社内にいる場合はあまり負担にならないものの、一から人材育成を行う場合、企業にとっては大きな負担となるケースもあります。
また、即戦力となる人材を採用する場合も、採用活動のために多くの時間とコストが必要になるでしょう。
業務内容によっては、人材育成のための費用に加えて、内製化のために新たなシステムや設備、備品などの導入が必要になります。また、導入したシステムや設備のメンテナンスコストなどが必要になるケースもあります。
たとえばIT系の業務であれば、サーバーやソフトウェア、ツールなどの導入にかかる初期費用に加えて、アップデートやメンテナンスなどの運用コストが必要です。
外部委託の場合は「委託費用」として必要なコストが可視化されているため、どのくらいコストがかかっているのかが明確に把握できます。しかし、内製化した業務についてはすべて社内での対応になるため、人件費や設備費、運用費など複数の費用として計上され、コストを明確に把握するのが難しくなるでしょう。
コストが不明瞭な状況ではコスト意識が低下しやすく、予算管理が甘くなってしまったり、経費を無駄に使用してしまったりする恐れがあります。
内製化を進める前に、まずはその業務が本当に内製化すべきかを十分に検討する必要があります。内製化が必要か見直す際には、「コストは適正か」「自社特有の業務や中核的な業務か」「長期間継続する業務か」の3つのポイントについて検討するとよいでしょう。それぞれについて解説します。
内製化を行うと、これまで外部委託にかかっていた費用が不要になり、その分内製化にかかる費用が必要になります。実際にコスト削減につながるかどうかは、内製化にかかるコストを試算し、外部委託した場合と比較して検討することが重要です。
業務内容や社内の人材、設備などの状況によって、内製化することが必ずしもコスト削減につながるとは限りません。初期費用だけでなく、中長期的な視点でコスト削減につながるかを精査したうえで判断することが大切です。
内製化の必要性を判断する際には、自社特有の業務や中核的な業務であるかを基準のひとつとして考えるのも有効な手段です。内製化には「業務のノウハウを蓄積できる」というメリットがあるため、自社特有の業務や中核的な業務を内製化すれば、独自のノウハウを自社の資産として蓄積できます。
また、中核的な業務を内製化することは、機密情報の漏洩リスクを避けることにもつながります。
内製化を検討している業務の継続期間も判断材料のひとつになります。長期的に継続する業務であれば、内製化して社内にノウハウが蓄積されるほうがメリットが大きいといえるでしょう。
反対に、短期的な業務の場合は外部委託のほうが適しているケースも多いです。内製化のために人材育成や設備投資にコストをかけるよりも、必要な期間だけ外部委託を活用したほうがコスト削減につながるでしょう。
内製化を進める際には、「内製化を進める目的を明確にする」「内製化する範囲を十分に検討する」の2つについて注意する必要があります。それぞれについて解説します。
内製化を進める前に、まずは「なぜ内製化が必要なのか」という目的を明確にすることが大切です。「内製化によってコストを削減したい」「重要な情報を扱う業務なので、セキュリティ面のリスクを考慮して内製化したい」など、課題となっている点も含めて洗い出しておきましょう。
目的が曖昧な状態で内製化を進めても、「コスト削減につながらなかった」「時間と労力を無駄にしてしまった」など、良い効果を得られない恐れがあります。内製化を進める目的を明確にしたうえで、コストの試算や設備の導入などを検討していくことが大切です。
内製化を実施する際には、すべての業務を内製化の対象とするのではなく、「どの業務を内製化するのが適切か」という視点で検討することが大切です。業務内容や社内のリソースなどを考慮し、実現可能な範囲で内製化を進めるようにしましょう。
内製化することにこだわりすぎると、かえって従業員の負担が増えたり、コストが余計にかかったりする恐れがあります。内製化を検討する業務に優先順位をつけて、内製化することが適切かどうかを十分に検討するようにしましょう。ひとつの業務においても「部分的に内製化する」「段階的に内製化する」など、無理のない範囲で進めることが大切です。
内製化は、主にコスト削減などを目的に、外部委託していた業務を自社での対応に転換することを意味します。内製化することによってその業務のノウハウを自社に蓄積できるほか、セキュリティの強化やスピーディーな対応にもつながります。
ただし、内製化には人材育成ための時間やコスト、さらに設備投資や運用コストなどもかかるため、内製化することが必ずしもコスト削減につながるとは限りません。また、自社特有の業務や中核的な業務、長期間継続する業務などは内製化に適しているケースが多い反面、短期的な業務や定型業務などは外部委託が適していることも多いです。
内製化を検討する際には内製化の目的を明確にし、コストの試算をふまえて十分に検討することが重要です。
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