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労働基準法は2026年にどう変わる? 改正に向けて議論されている課題とは?

近年の働き方の多様化に対応するため、厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」では、具体的な課題について報告書をまとめています。厚生労働省は、2025年中の議論を通じて、早ければ2026年にも労働基準法などの改正を目指す見通しです。この記事では、労働基準法の概要や2026年に向けて議論されている課題・問題について解説します。企業の人事担当者や労務担当者の方はぜひ参考にしてください。

目次

労働基準法とは

労働基準法は、1947年に制定された労働条件について定める法律です。ここでは、労働基準法の目的や、定められている事柄について解説します。

労働基準法の目的

労働基準法が定められている目的は、労働者の権利や生活を保護するためです。一般的に、労働契約においては雇用者側のほうが労働者に比べて有利な立場にあります。長時間労働や低賃金などの問題から労働者を守るために、労働基準法が制定されました。

労働基準法で定められている事柄

労働基準法で定められている主な事柄は、賃金や労働時間、解雇の条件、就業規則などです。賃金については、毎月1回以上一定の期日を定めて支払うことや、労働者に直接払うことなどの原則が定められています。労働時間については、1週間あたり40時間、1日あたり8時間を上限とすることが原則です。ただし、フレックスタイム制やみなし労働時間制など、より柔軟な働き方を実現する制度も用意されています。解雇については、少なくとも30日前には予告をしなければならないことが主なルールです。就業規則については、必ず記載しなくてはならない事項や任意に記載できる事項などが定められています。

2026年の労働基準法改正に向けて議論されている課題・問題

2026年の労働基準法改正は、現在はあくまでも検討段階です。具体的な内容として、以下のような課題が議論の対象となっています。

時間外・休日労働の実態についての情報開示

勤務環境を改善するためには、労働者が各企業の労働時間や休暇の取りやすさなどの情報を得られるようにすることが必要です。特に、時間外労働や休日労働の実態についての情報開示を行うことが企業に求められます。また、企業内部への情報開示や共有の方法を整理することも議論されているポイントです。

フレックスタイム制におけるコアデイの導入

在宅勤務など働き方の多様化に合わせて導入されたフレックスタイム制の改善施策として、コアデイの導入が検討されています。コアデイとは、特定の日について企業が始業時間・就業時間を決定できる新しい仕組みです。コアデイの導入により、1日単位でフレックスタイム制を適用できるようになることが期待されています。

法定労働時間週44時間の特例措置の廃止

現行の労働基準法では、特定の条件を満たす場合に1週間あたり44時間の労働が認められる特例措置が定められています。しかし、厚生労働省が実施したアンケート調査によると、87.2%の企業が特例措置を使っていない状況でした。そのため、特例措置の廃止が検討されています。

管理監督者への健康・福祉確保措置の導入

管理監督者は、現行の法律において実労働時間規制の例外となるケースがあります。同じく例外の対象となる裁量労働制や高度プロフェッショナル制度では、導入の段階で健康・福祉確保措置が設けられました。一方、管理監督者についてはまだ健康・福祉確保措置が導入されていないため、検討の対象となっています。

法定休日の特定

法定休日とは、使用者が労働者に対して原則として週に1日以上与える必要がある休日のことです。現在は週休2日制を採用している企業が多くあるものの、どの休日が法定休日かが不明確になっているケースも多く存在します。この状況を解決するために、法定休日の特定についての議論が行われています。

13日を超える連続勤務の禁止

現行の法制度では、変形休制と呼ばれる制度により、4週間を通じて4日以上の休日で労働させることが可能です。そのため、2週間以上にわたって連続勤務を行うなど、労働者への負荷が大きくなるケースが発生しています。このような長期間の勤務を防ぐ方法として、13日を超える連続勤務を禁止することが検討されています。

勤務間インターバル制度の導入促進

勤務間インターバル制度とは、勤務日の間に一定の時間を空ける制度です。この制度はワークライフバランスの確保を目的として、すでに欧州などで採用されています。国内では導入する企業がまだ少なく、導入を促進するための施策が議論されています。

年次有給休暇取得時の賃金算定における通常賃金方式の原則化

年次有給休暇を取得する際の賃金算定の方法は、現在は3つの中から選ぶことが可能です。しかし、その中の2つの方法については、日給制や時給制の場合に賃金が大きく減ってしまうケースがあります。この課題を解決するために、所定労働時間で得られる通常の賃金で算定する方式の原則化が検討されています。

副業・兼業時の割増賃金支払いにおける労働時間通算ルールの撤廃

現行法では、労働者が副業や兼業を行う場合、使用者は労働時間を通算した上で割増賃金を支払うルールとなっています。しかし、労働時間を細かく申告する手間がかかることで、副業や兼業がしにくくなっているのではないかという点が指摘されました。そのため、副業・兼業時の割増賃金支払いにおける労働時間通算ルールの撤廃が議論されています。

労働基準法改正など変化に対応するJOEのサービス

労働基準法の改正をはじめ、近年は人手不足などによる労働環境の変化や、働き方の多様化が進んでいます。これらの変化に対応する方法として、JOEのサービスがおすすめです。

JOEでは、人事給与の分野の効率化に役立つシステムや、アウトソーシングなどを提供しています。法改正への適切な対応や業務効率化に取り組みたい企業の担当者の方は、ぜひJOEのサービスの詳細をご確認ください。

まとめ

より良い労働環境を実現するために、現在は2026年に向けた労働基準法改正について議論が進められている状況です。労働時間や働き方に関するルールなど、現状の課題を解決するための改善策が検討されています。企業の人事・労務担当者の方は、法改正に向けた動きや厚生労働省からの発表などを注視しつつ、必要な準備を進めていきましょう。

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