2025.04.09
ライフデザイン手当(LD手当)とは、老後の資産形成を支援するための制度のひとつです。様々な利点から、この制度を導入する企業もありますが、この記事ではLD手当の概要や、メリット・デメリット、基本給やボーナスの扱いなどについて解説します。利用する際の注意点も解説するので、制度のしくみを理解する際に役立ててください。
LD手当とは、給料の一部として支給されるもので、「その時点で受け取る」または「企業型確定拠出年金(企業型DC)制度を利用して積み立てる」のいずれかを選択できる制度です。
一般的な企業型確定拠出年金(企業型DC)は、従業員の意思に関係なく企業が毎月掛金を拠出し、従業員が運用する制度です。LD手当は、手当を給料として受け取るか、企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛け金として積み立てるかを従業員の意思で選択できる点が大きな違いになります。
LD手当には、主に「税制上の優遇措置を受けられる」「ポータビリティ制度により転勤時も継続可能」の2点があります。それぞれについて解説します。
ライフデザイン手当LD手当は、節税につながるというメリットがあります。LD手当として拠出した分、給与の手取り額が少なくなるため、所得税や住民税、社会保険料の負担を軽減することにつながります。
また、LD手当は運用益が非課税となるので、受け取る際の税金負担も少なくなるのが大きなメリットのひとつです。
LD手当は、転職時にポータビリティ制度を利用して継続できる点もメリットのひとつです。ポータビリティ制度とは、転職をする際に自身の年金資産を転職先の会社に移せる仕組みのことです。これまで積み立てた資産を非課税で持ち出すことが可能で、転職先でも運用を続けられます。
また、転職先の企業がLD手当を導入していない場合は、iDeCo(個人型確定拠出年金)への移行も可能です。
LD手当には、「社会保障給付が減ってしまう」「原則として60歳までは受け取れない」というデメリットもあります。それぞれについて解説します。
LD手当を基本給から拠出すると給料が減るため、社会保障給付が減ってしまうというデメリットがあります。社会保障給付は給与を基本として計算するため、公的年金の給付が減ってしまいます。
給与を基本として計算する社会保障には、厚生年金保険(老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金)、健康保険(傷病手当金、出産手当金)、労働保険(労災給付、失業給付、育児休業給付金、介護休業給付金)があります。
ただし、公的年金の給付が減ってしまうものの、確定拠出年金の給付は増えるため、将来的に受け取れる金額は増える可能性があります。
LD手当は、原則として60歳までは受け取ることができません。急にまとまったお金が必要になったとしても、60歳までは引き出せないため注意が必要です。あくまでも老後の資金として考える必要があり、「今」や「近い将来」に使用できるお金が必要な場合には適さない点を理解しておきましょう。
たとえば独身のうちは老後の資金に備えるつもりでLD手当の制度を利用していたとしても、結婚して大きな出費があると、現金のほうが必要に感じてしまうこともあるため注意が必要です。
LD手当の制度を利用する際には、「掛金に回した分の基本給や手取り金額は下がる」「ボーナスが減るかは会社の規定による」「現金給付と積み立てのかどちらが得かを十分に検討することが大切」という3点について注意する必要があります。それぞれについて解説します。
LD手当の掛け金は給与の一部を拠出するため、基本給や手取りの金額は下がります。ただし、額面上の金額が下がることで損をしているように感じるかもしれませんが、将来的には拠出金と運用益を受け取れるため、長期的な視点で考えれば損をするわけではありません。
LD手当)の制度を利用することによってボーナスが減るかは、会社のボーナスの支給基準によって異なります。たとえば基本給の金額を基準にしてボーナスが決まる場合は、LD手当の掛け金の分の基本給が減るため、ボーナスの金額も減ってしまいます。
一方で、基本給に関係なく業績などに応じてボーナスが決まる場合は、LD手当の利用は金額に影響しません。LD手当の扱いは会社によって異なるため、会社の規定を確認することが大切です。
LD手当の制度を利用する前に、「現金給付」と「積み立て」のどちらが得かを十分に検討することが大切です。原則として60歳までは現金化できないため、ライフスタイルやお金に対する考え方によって、どちらを選ぶほうが適切かも変わってきます。
将来的に家庭をもちたいか、ある程度お金に柔軟性がほしいかなど、LD手当の制度を利用するかどうかは長期的な視点で考えることが大切です。
LD手当は、税制上の優遇措置を受けられるという大きなメリットがあり、将来的には拠出金と運用益を受けとれます。ただし、原則として60歳までは受け取れないため、利用するかどうかは十分に検討し、無理のない範囲で利用することが大切です。
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