2024.09.18
働き方改革の推進に伴い、企業には従業員の就業管理体制の強化が求められています。就業管理体制を整備することは、従業員の快適な労働環境を守り、生産性向上にもつながる重要な取り組みです。この記事では、就業管理の目的や具体的な業務内容などを詳しく解説し、勤怠管理との違いや、就業管理システムの選び方のポイントも紹介します。就業管理の重要性と実践方法を理解し、より良い労働環境の構築に役立ててください。
就業管理と勤怠管理は、似ているようで意味の異なる言葉です。
まず「就業」とは「職業につくこと」「その日の業務に従事すること」を意味します。一方で「勤怠」は、従業員の「出勤状況」を指す言葉です。
就業管理とは、端的に説明すると「従業員が適切に労働できているかを管理すること」です。従業員の出勤状況や休暇の取得状況、残業時間などを含めて、法令の範囲内で適切に労働しているかどうかを管理します。
一方、勤怠管理は「従業員の労働時間を管理すること」です。労働時間と一言で言っても、実際に働いた時間だけ管理するのではありません。日々の始業時間から終業時間、休憩時間のほか、遅刻や早退、欠勤についても把握することが求められます。
就業管理、勤怠管理には、それぞれをスムーズに行うためのシステムが存在します。就業管理システムは「従業員が適切に労働できているかを管理する」ためのシステムである一方、勤怠管理システムは「従業員の労働時間を管理する」システムです。
導入目的が異なる部分もありますが、どちらも従業員の労働時間や休暇取得状況、時間外勤務時間などを管理する役割を果たします。そのため、対応する範囲は就業管理システムと勤怠管理システムで、同じである部分も多いです。
特に、従業員の出退勤打刻や休暇申請などにも細かく対応した勤怠管理システムであれば、就業管理にも役立てることができるでしょう。
就業管理の目的は「従業員の労働衛生を守ること」です。企業には、法令や就業規則に沿って、法定の労働時間を超えて労働していないか、有給休暇を適切に取得しているかを管理し、従業員のワークライフバランスや心身の健康を守る義務があります。
特に最近では法改正の影響により、就業管理の重要性がさらに高まっています。2019年に施行された働き方改革関連法では、時間外労働の上限規制が強化され、違反した場合には企業に対して罰則が科されるようになりました。また、年次有給休暇の取得が義務化され、労働時間状況の客観的な把握が求められるなど、企業が遵守すべき規則が増加しています。
さらに、フレックスタイム制の拡充や勤務間インターバル制度の導入促進など、働き方がますます多様化しています。従業員が安心して働ける環境を整えるために、企業には就業管理体制の整備が求められています。
このような取り組みは、従業員のモチベーションを向上させ、企業全体の生産性を高める効果も期待できるため、経営戦略の一環としても非常に重要です。法令違反によるリスクを回避するだけでなく、従業員の労働環境を適切に守ることは、企業の持続的な成長につながるでしょう。
就業管理が適切に行われていない場合、企業はさまざまなリスクに直面する可能性があります。その最も顕著なものが法令違反です。労働基準法では、時間外労働の上限や年次有給休暇取得の義務が厳格に定められており、守らない企業には罰則や行政指導を受けるリスクがあります。特に、未払い残業代の発生や過重労働が常態化している場合には、従業員からの訴訟リスクも増加し、企業の信用を著しく損なうことになります。
また、就業管理が不十分であると、従業員の体調不良やメンタルヘルスの問題が発生しやすくなります。過度な労働時間や適切な休息が取れない状況が継続すると、従業員は慢性的な疲労を感じ、うつ病などのこころの健康問題に発展するリスクもあります。
さらに、労働環境の悪化は、従業員のモチベーションを低下させ、離職率が高まるリスクにもつながります。若い世代はワークライフバランスを重視する傾向が強く、就業管理が適切でない企業からは優秀な人材が流出してしまう可能性が高いです。このようなリスクを回避するためにも、企業は就業管理を徹底し、従業員の健康と働きやすい環境を守るための取り組みを強化する必要があるでしょう。
就業管理に関する業務を詳しく見て行きましょう。
労働時間の適正な把握と管理は、就業管理において非常に重要な役割を果たします。2019年の働き方改革に伴い、労働安全衛生法が改正され、企業には全従業員の労働時間状況を把握する義務が課されました。
適正な把握とは、タイムカードやパソコンの使用ログ、入退室データなどの客観的な記録に基づき、勤務日ごとの出勤・退勤時間を正確に確認することを指します。特に、打刻による正確な記録が可能な就業管理システムの導入が推奨されます。
さらに、過重労働を防止するために、企業は定期的に従業員の残業時間をチェックし、必要に応じて労働時間の調整を行うことが重要です。また、労働基準法に基づく「36協定」の適切な締結や更新も不可欠です。
従業員の健康とワークライフバランスを守るためには、休日や休暇の管理も大切です。労働基準法によれば、入社から半年が経過し、一定の条件を満たした従業員には、最低10日間の年次有給休暇が付与されます。
さらに、2019年の働き方改革により、年次有給休暇が年10日以上付与された従業員には、そのうち少なくとも5日間の取得が義務づけられました。企業はこの取得を確実に実施する責任があります。そのためにも、就業管理システムなどを活用して、年次有給休暇の消化状況をリアルタイムで把握する体制を整備すると良いでしょう。
また、有給休暇の取得を促進するためのキャンペーンなどを実施し、従業員が休暇を取得しやすい環境を整えることも重要です。
就業規則は、従業員の労働条件や職場内のルールを定めた企業内の基本的な規則集です。就業規則には、労働時間や休日など、就業管理に関する項目も含まれているため、始業・終業時刻の記録方法や、打刻・申請の手続きなど、自社の就業管理ルールを明確に記載しておくことが望ましいです。
また、就業規則の内容は従業員に十分に周知し、違反が発生しないような体制を整備する必要があります。さらに、実際の運用状況に応じて定期的に就業規則を見直し、法改正や労働環境の変化に対応して更新することも重要です。
労働基準法を遵守し、労働トラブルを未然に防ぐためには、就業管理の遵守が不可欠です。就業規則を適切に管理し運用することは、従業員が安心して働ける職場環境を提供し、企業全体の安定と成長につながるでしょう。
適切な就業管理を実現するためには、まず現状の就業管理体制を見直し、改善が必要な箇所を特定することが重要です。次に、適切な管理を支援するために、就業管理システムや勤怠管理システムの導入の検討が推奨されます。これらのシステムは、従業員の出退勤時刻の管理を効率化するだけでなく、入力不備に対してはアラートが出るなど、ミスを未然に防ぐ効果も期待できます。
また、就業管理システムや勤怠管理システムを活用すると、従業員の勤務実態を把握しやすくなり、必要に応じた労働環境の調整が可能となります。さらに、管理者や従業員に対する適切な教育やトレーニングを実施することで、システムの効果的な運用が促進され、全従業員が法令遵守を理解し、実践する体制が整うでしょう。
就業管理システムや勤怠管理システムを導入する際、どのような基準でシステムを選ぶべきかのポイントを解説します。
就業管理システム、勤怠管理システムは、他システムと連携することで業務効率化や、管理体制の質の向上が期待できます。
例えば給与管理システムと連携できれば、勤怠情報の給与計算システムへの共有が効率的に行なえます。
ただし重要なのは、自社の目的や克服したい課題に沿ったシステムを導入することです。たとえ拡張性が期待できたとしても「自社の就業規則に対応できない」「機能を持て余してしまう」といった状況になると、無駄が多くなってしまいます。
連携や拡張を期待する場合は、自社の現状のシステムにフィットするかどうかや、達成したい目的に沿ったものかを確認するようにしましょう。
機能や操作性については、システムごとに異なります。これに関しても、自社の状況や課題に合ったものを選ぶことが重要です。
「高機能であればあるほどいい」と考えがちですが、自社が望んでいる目的が達成できないものや、高機能であるあまりコストに見合わないものは、最適とは言えません。
また、操作性が複雑であれば、特定の人間しか使いこなせない非効率な状況となってしまいます。「実現したいことが叶う機能を備えているか」「誰でも使いやすい操作性か」は特に重視しましょう。
就業管理システム、勤怠管理システムを選ぶ際は、システム導入時やその後のサポートが充実しているものをおすすめします。
導入時のサポートやヒアリング体制が充実しているシステムであれば、自社に最適なシステムを構築してくれることが期待できます。
また、実際にシステムを運用する中で、不具合や「思っていたのと違う」といった課題が生じることも否定できません。その場合にも、相談やサポートにすばやく応じる体制が整っているシステムであれば、安心して利用できるでしょう。
就業管理は、従業員の労働環境を守るために重要な業務です。従業員のために、より就業管理体制を整備するためにも、就業管理システムや勤怠管理システムの導入を検討してみてください。
人事システムを提供しているJOEでは、連携可能な勤怠管理システム、給与計算システムを展開しています。特に勤怠管理システムは出退勤打刻や休暇申請などにも対応しているため、就業管理にも役立てることが可能です。多くの企業の人事給与業務に長年携わってきた経験を活かし、各企業の業務環境に最適なシステムを構築します。また、導入時から導入後までのトータルサポートにも対応しています。サービス内容について詳しくは「勤怠管理システム」のページをご確認ください。