2024.09.18
事業者にとって特別徴収税額通知書は、従業員の個人住民税を給与から天引きしたり、従業員に配布したりするために必要な書類です。月々の徴収税額や徴収期間など、処理に必要な情報が細かく記載されています。本記事では、労務担当者が知っておきたい特別徴収税額通知書の仕組みを解説します。令和6年度より可能になった、特別徴収税額通知書の電子データでの受け取りについての概要や対応策についても併せてお伝えします。
まず、定額減税の制度と給与システムの基本的な役割について解説します。
給与システムの中には、給与計算を効率的にしてミスを防ぐなどの機能が付いているだけでなく、定額減税のようにルールが複雑な法改正にも対応して処理できるシステムもあります。定額減税に対応した給与システムの特徴も併せて確認していきましょう。
定額減税は、政府が経済政策の1つとして実施する、所得税及び個人住民税の減税制度です。物価上昇によって生活への負担が増している状況を受けて、減税によって国民の負担を下げることを目的としています。
具体的には、1人につき令和6年度分の所得税3万円、個人住民税1万円の減税が実施されます。定額減税は納税者に加えて、配偶者を含めた扶養家族にも適用されます。定額減税をしきれないと見込まれる方には、給付金という形で支給もされます。
ただし、合計所得金額が1,805万円以下である人が対象です。この合計所得には、退職所得金額も含まれます。その他細かい要件に照らし合わせて、対象となる人をはっきりさせないといけません。
定額減税の実施にあたっては、対象者の抽出や減税額の計算など、これまでにない処理が必要になることもあり、給与システムの見直しを考える企業も増えています。
給与システムの役割は、従業員の給与計算のために、社会保険や税金の計算・控除、年末調整を効率的にすることです。従業員によって雇用形態や手当などの必要な条件が異なり、人数が多くなるほど作業が煩雑化します。社会保険や税金の計算も、社会保険制度や税制などの改正が頻繁にあり、即時対応も必須です。
給与システムを利用すれば、計算ミスや処理方法の間違いなど人的ミスが減ります。給与は、従業員のモチベーションにつながる重要な要素です。スムーズで正確な処理を行うために、給与システムは重要な役割を果たしているといえるでしょう。
給与システムの多くは、定額減税の実施に合わせ、その機能を拡充しています。定額減税の対象者の抽出や、減税額の自動計算ができるように調整されています。
定額減税の対象者は合計所得金額などによって決まりますが、これをシステムが抽出してくれます。要件を満たす配偶者や扶養家族も自動で登録できたり、個別に入力登録できたりします。
そして減税額が計算され、明細書に反映されることになります。システムによって対応する機能、利便性は異なるので、導入検討の際にはあらかじめ仕様を確認してみましょう。
給与システムを導入しても、情報の入力は一部必要にはなります。一方で、給与システムが定額減税に対応していることで、記載ミスや計算ミスなどの人的リスクを最小限にすることができます。
定額減税に対応する給与システムを導入するメリットは以下の通りです。
1つずつ解説していくので、自社で導入する際の参考にしてください。
給与システムは、社員の雇用形態から勤務時間や勤怠管理など給与に関わるさまざまな情報を管理しています。定額減税は、給与や手当を基準に判断するので、給与システム内で対応ができ、一緒に計算ができることで作業の効率化につながるのです。年末調整や控除額の確認などもデータから反映させるだけなので、手間をかけずに済むようになります。
例えば、手作業を行うことで、単純な計算ミスも増えてしまいます。システムの運用で定額減税を行うことは、給与を管理する方にとってはミスを防止できて、大きな時間短縮につながるのです。
定額減税に対応した給与システムを使えば、人的コストも最小限にすることができます。担当者は最低限の入力、確認作業で業務を進めることができ、工数の削減につながることでしょう。定額減税の実施による負担増も、これである程度カバーできることになります。
定額減税を反映した給与明細をWeb上で発行できるため、印刷する用紙や印字するインク代の節約にも貢献します。
定額減税ひとつとっても、ルールが複雑で、理解がなかなか追い付かないこともあるでしょう。しかし法令に則ったシステムを利用すれば、ルールから逸脱するような処理が行われることも避けられます。今後もまた定額減税のように対応が必要となる法改正が行われても、都度対応する体制が整っているシステムであれば、慌てず安心して業務に取り組めるでしょう。
ちょっとしたミスや認識不足が、重大な法令違反につながってしまう可能性もあります。そういったトラブルを未然に防いでくれるのです。
次に、定額減税に対応した給与システムの選び方について解説します。留意する点は以下の通りです。
一口に給与システムといっても、種類や特徴も多種多様です。給与システムを選定するポイントを解説していきますので、参考にしてください。
給与システムを導入する際には、システムを利用する目的を明確にする必要があります。給与計算に特化したものがよければ、給与を自動計算してくれたり、給与明細を発行したりする機能があると良いでしょう。小規模企業であれば、給与計算のみのシステムでも十分対応は可能です。しかし、従業員数が多くなってくると給与形態や手当の部分で把握が難しくなり煩雑化します。企業規模が大きい場合は、従業員データと連携が必要になるなどします。
企業規模の拡大や法改正などによって、必要とする機能が将来的に増えることもあります。そのようなときにも柔軟に対応できる、拡張性のあるシステムを選ぶようにしましょう。機能拡張、変更時の面倒な設定変更なども全部任せられる提供企業であると、なお安心です。
ベンダーとは、ビジネス用語でクラウド事業者や製造元・販売元を指す言葉です。製品やシステム関連業者をいいます。給与システムの導入は、経営や業績の数値など企業の根幹部分に関わります。情報漏洩しては大変な、大切なデータが取り扱われるシステムでもあります。
金額や直感などだけでベンダーを選択するのはおすすめしません。信頼できるベンダーか、十分な実績はあるか、セキュリティ体制はどうなっているかなどをよく確認しましょう。導入前に担当者とよく話し、不安な点があれば払拭していくようにします。困ったことがあったときにすぐ相談に乗ってもらえそうか、システムのカスタマイズにも柔軟に対応してもらえそうかといった点もチェックしておきましょう。
最後に、定額減税に対応しているシステムとして、株式会社JOEの給与計算システムをご紹介します。給与システムの新規導入、見直しご検討の際には、ぜひ導入をご検討ください。
JOEの給与計算システムは、お客様の給与規程に合わせてフレキシブルに計算式が構築可能なシステムです。一般的な規程だけでなく、お客様独自の規程にも柔軟に対応できます。自社開発ではないシステムの場合、複雑な計算式には対応し切れず、一部Excelで組むことになってしまうといった事態にも陥りがちです。そういった計算式も、JOEの給与計算式であればシステムに実装することができます。
JOEは勤怠管理システムも提供しており、給与システムとも連携できます。上手に活用すれば、給与業務の負担軽減も可能です。
基本となる賃金規程や就業ルールはもちろん、説明しづらい変わったルール、都度何となく対応している例外処理などといった、システム化が難しい要素についても、JOEはよくヒアリングし、可視化を目指します。
お客様には「給与計算内容ご確認書」という形で明文化したものを提出し、確認いただくことになります。これにより、属人化、ブラックボックス化した業務をすっきり整理できるというメリットも生まれます。
JOEの給与計算システムは、所属会社や雇用契約内容が異なっていても、1つのデータベースで管理が可能です。グループ会社ごとにシステムが分かれていて運用コストが上がってしまうという心配はありません。
操作方法も統一できますし、一元管理によって効率も良くなります。グループの規模が大きくても、安定したスムーズな運用が実現できます。
経済対策の一環で始まった定額減税ですが、企業は業務負担を軽減するために、対応した給与システムの見直しが必要になっています。業務負担の軽減や、業績を安定して続けていくためにも、システムの選び方は重要です。JOEの給与計算システムは、カスタマイズが可能なのでそれぞれの企業に応じた給与計算システムを実現することが可能です。
JOEの人事システムでは、定額減税に対応した年末調整の申告や、各種控除の複雑な計算にも柔軟に対応可能です。詳しくは、JOEの「給与計算システム(Web明細含む)」や「年末調整Web申告システム」のページをご覧ください。