2023.08.31
近年の人事業務は複雑化しています。働き方の多様化が進み、マイナンバーや個々のスキルなど管理すべき情報も増えているからです。そういった課題の解決につながるものとしては、人事DX(HRDX)が注目されています。
今回の記事では、人事DXの具体例や実現方法、進め方について解説します。人事DXを考えるきっかけを作り、業務効率化の実現などにつなげていきましょう。
まずは人事DXとはどのようなもので、人事DXが求められる理由とは何かについて解説します。
経済産業省が公表するデジタルガバナンス・コード2.0(旧 DX推進ガイドライン)では、DXを次のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
これを企業単位ではなく人事部門単位にしたものが人事DXであり、システムを活用した人事業務の効率化や、人材データの分析などによって個人や組織のパフォーマンス向上を実現することを指します。
人事DXが求められている理由の一つには、少子高齢化に伴う労働人口の減少があります。労働人口が減って人手が不足し、限られた人員で業務を回さなければいけない可能性が高まる中、人事DXによる抜本的な業務プロセスの改善が求められます。
そして、働き方の多様化も挙げられます。テレワーク、ハイブリッドワーク、フレックス勤務などが当たり前になる中、従来通りの方法では管理し切れないといったことが起こっています。
人事DXを推進する中では、どのような取り組みが必要になるのでしょうか。具体的な取り組み例を4つ紹介します。
給与計算は重要性が高く、かつ手間のかかる作業が多いです。給与計算システムを導入して手間のかかる作業を自動化することで、業務効率化の効果が出やすいでしょう。
例えば諸手当や欠勤控除などでその会社独自の計算式があり、毎月の給与計算では手作業で計算しているような場合に、会社独自の計算式までシステムに組み込むことで効率化が図れます。
従業員に関する各種データを一元管理できるのが人材管理システムです。導入すれば、必要なときに必要な情報を効率よく得ることができるようになりますし、集まったデータは分析にも利用できます。
出退勤打刻や各種申請の機能を備え、従業員の勤怠情報を管理できるのが勤怠管理システムです。しっかりとした勤怠管理システムがあれば、多様な働き方にも対応することができ、過重労働や長時間労働などの労務問題にも適切に対応できるようになるでしょう。
タレントマネジメントシステムは、従業員のスキル、資格、経験、評価などさまざまな情報を一元管理し、適材・適所への人材配置や人材育成などをしやすくするシステムです。今いる人材をもっと有効活用したい、離職を防ぎ定着させたいといった目的にも有効と考えられています。
人事DXを進める際には、次の3つのポイントを意識しましょう。
人事業務を数か月後、数年後にはどのような状態であることが理想なのか、目的を明確に設定しておきましょう。目的があることで、必要なシステムが見定めやすくなり、システム導入後の積極的な活用にもつながります。
人事DXを推進するためには、新しいシステムを導入、周知し、継続できる体制を整える必要があります。全社的に影響のある取り組みですから、他部署ともうまく連携をとらなければいけません。ある程度の予算も必要になるので、経営層にも理解を求める必要があるでしょう。
人事DXを推進するにあたっては、あれもしたいこれもしたいと、実現したいことがたくさん出てくることもあるでしょう。しかし一度に進めようとしたら負担が大きくなりますし、予算もうまくまとまらないかもしれません。当初の目的に従って、一番効果が出やすいものから順にはじめ、徐々に範囲を広げていくなど、優先順位を決めておいた方がスムーズです。
人事DXの実現方法と進め方を、具体的に説明します。
人事DXを実現するためには、人事部が人事労務の課題に一丸となって取り組み、チーム内の意思統一を図ることが重要です。上で挙げたような「目的の明確化」「体制づくり」「優先順位の決定」を行った上で、人事DX推進のためのスケジュールを立てていきましょう。
人事DXは以下のような流れで進めていきます(他社のシステムを活用する場合の例)。
会社全体、人事部全体の改善を進めようとすると、多くの労力が必要になり、人事DXもなかなか進まない可能性があります。そこで停滞してしまうよりも、まずは一部の業務でのシステムを見直し、スモールスタートで始めることをおすすめします。優先順位をつけて、1つずつ解決していきましょう。
人事DXは人事業務を効率化できるだけでなく、集まったデータの分析によって、会社の成長にも貢献できます。しかし、人事業務のシステム化にあたっては、業務が複雑すぎてどのように対策すれば良いのかわからないといったこともあるでしょう。そんなときは、JOEに一度ご相談ください。会社独自のルールに応じてカスタマイズでき、セキュリティも万全なシステムをご提供しています。
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